【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第9章 J'adore
「千花が誰に話しかけたって…
誰に、笑いかけたって。
俺のだって、大きく構えて居られる男になる。
…少しは、むすくれるかも知れないけど」
いつの間にか流れていた私の涙を、家康の指が救う。
優しい指はつい先程までと違って、温度を持っていた。
じんわりと通ってくる熱が彼の気持ちのようで、また涙を誘う…
止めようたって止められないけれど、家康が優しくしてくれるならいいか、と。
また目を閉じた瞬間に一粒流れて行った涙を、今度はその唇で掬いとってくれる。
「例え俺がむすっとしてても、あんたは分かっていて欲しい。
千花は俺の、俺だけの大事なお姫様だって、俺が思ってる事。
好き、なんかじゃ足りない、可愛いって、愛しいっていつも思ってる事──こんな重たい俺を受け止める覚悟、ちゃんとしといて」
真っ直ぐな視線と言葉に、喉をゆるゆると締め付けられるような感覚が、苦しい位。
とっくに出来てる、と小さく返すと、家康が小さく笑うから目が離せなくなる。
また視線が絡んで良い雰囲気、の中、家康がぱちりと瞬きをし。
途端に、盛大なため息をついた。