【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
「という訳で、行っていいよ」
「え!?
そんな…ここは人里離れた山の奥です、町までお送りいたします」
「ううん、大丈夫。多分、帰れるから」
首を傾げる弟、しかし兄がはっと息を飲み、俯いた。
「大丈夫、あなた達は捕まったりしない。
また、近い内にあなた達の村で会おうね」
ひらひらと手を振る。
兄は深く頭を下げ、弟もそれに倣うように頭を下げた。
暫くそうしていたけれど、やがて静かに踵を返し、去っていく。
やはりがたがたと軋む戸が閉まる前、びゅう、と吹き込む風に身を竦める、けれど。
またその中、ほのかな色付きを見つけ、思わず微笑んだ。
私は、あなたの物だと。
あなたは私の物だと、いつも思わせてくれる…
「いえやす、」
会いたくてあいたくて、仕方がない人の名前を、いっぱいの気持ちを込めて呟いた──