【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
「…しかし、私たちには時間が無いのです。
女手一つで私たちを育ててくれた母を救うためなら、命をも厭いません」
「勿論、千花様を傷つけるつもりもありません。
こちらの願いが聞き届けられれば、必ず無事にお返し致します。
その後、我々がどうなろうと構わない覚悟です」
二人の言葉に、思わず涙があふれる。
そんな悲しい覚悟、あってはならないのに。
「それでお母様を救えたとして、元気になってもあなた達がいないと意味無いじゃないっ…!」
二人の顔に戸惑いの色が浮かぶ、しかしその表情は悲壮な決意に満ちたまま。
武将と農民だと、立場が違いすぎて理解しえないのだろうか?
私の言葉は、信じてもらえないのだろうか。
そんな考えを打ち払うように首を振る、何か、信頼に足るような──
そして、さっきから勢いに任せて縄から抜こうとしていた手が、その時やっと自由になった。
縄目に擦れた傷口からぽたり、と血が垂れるけれど、ぐっと歯を噛み締める。