【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
「貴女方が馬に乗り巡っておられた辺りから、林を越えた所に我が家がございます。
老いた母と、我々兄弟が住んでおりますが…
最近母が病に倒れ、我々では医者にかからせることも、滋養のある物を食べさせる事も出来ず」
「どうか温情に預れればと思い、この様な無礼な真似を致した次第です」
「…なら、その時に声をかけてくれたらっ…!」
私の問いかけに二人は俯き、まるで諦めたような表情で首を振った。
「私たちのような下々の者がお声をかけるなど、出来ません」
「この様な願いも、前の領主であれば突っぱねることは分かっておりましたゆえ、考えもしませんでした。
貴女がこちらの手にあると分かれば、情けをかけて頂けるであろうと苦肉の策の上です」
前の領主…茶会での下卑た表情が思い出され、身震いがする。
そして、引き合いに出された事が悔しくて、悲しくて──
「家康は、あんな奴と一緒じゃない!」
つい大きな声を出してしまい、二人がはっと顔を上げこちらを見ている。
それでも、私の勢いは止まらない。
「忙しい政務の間を縫って山を越えて、あなた達の村を良くしようと動いているんだよっ…
家康に相談したら、きっと何とかしてくれる!」