【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
「…何故、私をここに連れて来たんですか。
私を攫っても何の意味もないと思うんです、お金もないし」
生まれた感情に背を押され、今までより強い語気で問いかける。
二人は顔を見合わせ、俯く…
しかし、今度は弟が口を開いた。
「秋の終わり頃、貴女が私たちの村に来て下さいました。
その姿を、今でも忘れられません」
秋の終わり──記憶を手繰り寄せる。
確かに、山の向こうの村を視察してまわる家康に、ついて行った事があった。
「馬の背に乗り、微笑む千花様はとても幸せそうだった。
武将様も、貴女を大切そうに見つめていました。
貴女なら、人質に充分だと思ったのです」
「…つまり、何か望みがあって私を攫ったと?」
兄弟が揃って頷く、その真っ直ぐな眼差しに絆されそうになりながら、話を聞こうと身を乗り出す。