【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
床にべたん、と脚を投げ出し、私はもう何度目か分からないため息をついた。
初めは囚われの身としてしおらしく足を揃えていたけれど、そろそろ痺れてきたから遠慮なく寛いでしまっている。
どうやら危害を加える気は無いらしい、と彼らの雰囲気から察した私は、火鉢の近くに擦り寄って暖を取りながら、様子を伺い続けていた。
二人の男は時折こちらを心配そうな、申し訳なさそうな顔で見てくる。
一度、何故私を連れてきたんですか、と聞いてみたけど返事はなかった。
今は内ひとりが周りの様子を見てくる、とかで出ていってしまった。
もう一人は何も言わず、ぱちぱちと爆ぜる火をじっと見ている。
二人の話し方なんかを聞いていると、どうやら兄弟なんかだろうな、と気付いた。
多分兄の方が、私と同年代──その時、また立て付けの悪い戸ががたがたと音を立てる。
そして見回りに出ていた兄の方が帰ってきた、それと同時に、すっかり日も沈んで暗くなった外が見えた。
皆、心配しているだろうか?
開け放たれた戸からは強い寒風が音を立て吹き込んでくる。
勢いに思わず目を閉じ、そして、ほのかに色付くような感覚にはっと目を開く。
これは──
「千花様、申し訳ありません!閉めますね!」
帰ってきた兄ががたがたと、また苦心して戸を閉めた。風が止んだと共に、色が、温度が元に戻る。
ふるり、と寒さからじゃない震えが身体を一周し、そして。