【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第6章 ENVY
「む、うっ…!!?」
まだ自由のきく腕を取り敢えず振るってみる。
袖口からぽとり、と匂い袋が落ち、その行いを心の底から後悔した矢先、声をかけてきた男に両腕をがっちりと掴まれた。
そして、後ろの男が白布を私の目に巻く。
視界が遮られ、ガタガタと身の震うような恐怖が込み上げてくる――
「千花様、これ以上の手荒は致しません。
お約束致します故、どうか着いてきて頂きたい」
意外にも優しい声色が、耳元で響いた。
着いていくもなにも、両腕は相変わらず一手に掴まれたままで、逃げようなんて出来そうにない。
今は抵抗しない方がいい、と腹を括り、促されるままに歩を進める。
あぁ、また皆に迷惑と心配を掛けてしまうに違いない――そんな風に考えながら、どれ程歩いただろうか。
山道を通っているのか、時々木の根に躓きそうになる度、優しく支えてくれる男達。
そして徐ろに二人は歩みを止め、うち一人が私から離れると、がたがたと立て付けの悪そうな戸を開けようとする音。
そして、漸く開いたらしい戸から建物の中へと連れ込まれた。
外された目隠し、開けた視界の代わりに縄が手首に巻かれる。
元々炊いてあったのか、ぱちぱちと炉の火が爆ぜ、部屋の中は温かい。
思いの外良い待遇に、益々彼らの目的が分からず首を傾げる私に、傘を取った二人は申し訳なさそうな表情を浮かべた。