【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第6章 ENVY
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活気溢れる市を通り抜け、人々の家が建ち並ぶ辺りを抜け、草の背高い畦道に差し掛かる。
枯れ草が音を立てて風に靡き、何処か物悲しい雰囲気が漂う。
町はいつもの様に平和で、人々は楽しげだった。
平穏を守るため、武将の皆も一生懸命働いてるんだもの、当然だ――でも、寂しさで色が変わって見える。
モノクロめいた冬の気配が、一帯を覆う。
漸く家康に会える、と喜びに溢れていた気持ちは、空気の抜けた風船のように萎びていた。
彼は戦帰りで疲れている、訪ねていった自分が悪い、と分かっているのに…身勝手な寂しさに、やり場のない思いが募る。
ぼーっと考えながら歩く私に、誰かが声をかけた。
「もし、千花様ですか」
「…はい、そうです、けど…?」
どこから姿を現したのだろう、忽然と目の前に立つ男の人の顔は、目深に被った笠で見えない。
私が返事をしたのが早いか、これまた後ろにいつの間にか迫っていた男が、腰と口に手を回した。