• テキストサイズ

【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】

第6章 ENVY






その時、近づいてくる足音が聞こえた。
自室の前に座し、失礼します、と声をかけてくる。
家老の石川は、人質時代も共に仕えてくれた、旧くから馴染みの家臣だった。



「殿…
千花様が来られましたが、お言い付け通りお引き取り頂きました」

「…わかった」


何をしに来たのだろう。
彼女の事だから、俺の気持ちも弁えず、出迎えるという約束でも果たしに来たのだろうか?


「…宜しかったのですね」
「そう命じてあっただろ、それでいい。もう下がれ」


足音は去っていく。
きっと全て見通しているであろう石川の言葉は重く、またこの胸の空いた所を占める。


これでいい、訳無い。
でも、どうしようもないだろ?だってもう、彼女は彼のもの。
俺が手をつける事なんて出来ない。


ずっと大事に壊れ物に触るように、少しずつ距離を縮めてきたのが仇になるなんて――そんな風に後悔しても遅いのだと、充分、知っている。

/ 133ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp