【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第2章 burn
広間に入る前に、厨へと立ち寄ると。
見慣れた顔が、せっせと配膳の準備をしているのを見つける。
大きく力強い立ち姿はその場に似つかわしくなく、何処か可愛らしく思えて。
何度見ても、笑いがこみ上げて来るのを止められない。
「政宗!何か手伝えること、ある?」
「おう、千花!
もう出来るから、向こうで待ってな」
そう、いつもの様に笑顔で答えた政宗はしかし、くん、と鼻を動かし…訝しげな表情を浮かべた。
「…ん、千花…その匂いは、」
「あ、ごめんなさい!
食事の場には良くなかったよねっ…」
現代では香害という言葉もあったくらいだ、弁えなければならなかった、と反省する。
しかし、政宗はすぐにまた笑顔に戻った。
「…いや、その位の仄かな匂いなら鼻についたりしない。
いい匂いだ、つけたままでいいだろ」
「ほんと?ありがとう!」
家康に貰った香りを褒められて、思わずにやける頬をそのままに、広間へと向かう。
政宗がじっと、その後ろ姿をまた訝しげに見つめていることにも気づかずに。