第8章 人質解放!? 彼side
もう、十分だよな。警察もきたし、騒ぎも大きくなったみたいだし。
とりあえず人質を解放するか。
でも、あいつのこと離したくねーな。
どうせ、俺は死ぬつもりだ。あいつのこと、ギリギリまでそばに置いてても別にいいよな。
俺に指をさされたあいつは目を丸くしている。だけど、怯えている様子はない。
2人の女を解放して、俺とあいつは2人きりになった。
そういえばさっき、こいつ俺に恋してるって言ってたよな。てことは、逃げないってことか?
俺は試してみたくなった。別に逃げられたって、それはそれで構わない。俺は死ぬだけだから。
俺はあいつから離れた。
心のどっかで逃げないでくれと思いながら。
でも、逃げて欲しいとも思った。そうすればこの世とはなんの未練もなくいなくなれる。
あいつが走る音がしない。
おそるおそる後ろを振り向いた。
あいつの行動は俺の想像を超えていた。
泣いている。うそだろ?