第2章 コミュニケーション
何が目的でこんなことしてんのか分からない。私は上げていた手が疲れてきて、ふーっとため息をついた。
男「おい、どーした?」
あぁ、ため息のわけか。そんなこと気にしてくれるなんて案外、繊細なやつだ。
らん「いや、ちょっと手が疲れてきたので。すいません」
何されるか分からない。謙虚にいくのが正しい選択だろう。
男「あぁ、わりー。手、おろしていいぞ。」
なんだこいつ。全然普通じゃないか。むしろ、優しいかもしれない。私は思い切って口を開いた。
らん「なんで、こんなことするんですか?」
私は彼の目を見つめた。
男「わりーな、お前らじゃなくてもよかったんだ。俺はただ、この駅で問題を起こしたかっただけ。どうせやるならデカイことやんねーとな」
男は何かを思い出すように微笑んだ。あぁ寂しい人なんだ、胸の奥が少し痛んだ。