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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第7章 恋慕




「ああ、そう言えば……」


エルヴィンと話をしていたマンフレートが、何かを思い出したのか、エミリへ声を掛ける。
お菓子を食べていたエミリはむしゃむしゃと口を動かしながら顔を上げた。


「もうすぐエーベルが来るはずだよ」

「……え、ホントですか……!?」


"エーベル"という名に、エミリはドクンと胸が脈打つのを感じた。


「エーベルは私の一人息子の名だよ。よく、エミリちゃんを可愛がっていてね」

「そうなんですか」


マンフレートの息子であるエーベル・ホフマンは、ホフマン家の次期当主だ。優しく温厚で人柄も良く、頭も良くて更にルックスも良いともう非の打ち所がないような青年だ。

エミリも出会ってからはよくエーベルのことを慕っていた。
友人として、尊敬する人として、そして──


(……エーベルに、また会える……)


一人の男性として。


「エーベルも君に会えるのを楽しみにしていたよ」

「そ、そうなんですか!! 私も楽しみです!」


満面の笑みを浮かべ、頬を紅潮させるエミリの様子が普段と違っていて、リヴァイとハンジは視線を合わせる。


「父さん、エーベルです。ただ今到着致しました」

「!」


扉の向こうから聞こえる、懐かしい声にエミリの心臓は早く鼓動する。


「入りなさい」

「はい。失礼します」


ゆっくりと扉が開かれ、"エーベル"が姿を現した。

久しぶりに見たエーベルは、最後に会った時よりも大人っぽくなっていて、彼特有の落ち着いた雰囲気が更にエミリの心臓を早くする。

じっとエーベルの顔を見ていると、バチリと目が合った。
胸がドキリ高鳴る。

エミリと目が合ったエーベルは、優しく彼女に微笑んだ。


(…………やっぱり、エーベルの笑顔って、落ち着く……)


三年振りに見た自分が恋する相手は……知らない間に"大人"になっていて、それでも中身はあの頃と変わらない優しいエーベルだった。

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