Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第23章 親友
「……わからないんです。ペトラと、どうやって仲直りすれば良いのか」
そんなエミリの悩みが意外すぎたのか、二ファもまた驚いた顔を見せた。しかし、その表情はすぐに柔らかいものへと戻る。
「そっか…………でも、私はそんなに思い悩むことでもないと思うなあ」
「……え」
「エミリが素直に思っていること、ちゃんと伝えたらいいと思う」
ハンジにも引っぱたかれ、エルヴィンたちからも罰を与えられ、独房に入れられている間も嫌という程に説教を繰り返され、エミリにも色々と今回の自分の行動に関して、思うところはあるはずだ。
反省し、自分のことを責めただろう。
ならば、その思いを全てペトラにぶつけるしかないのだ。言葉でなければ、どんなにペトラが大切でも、仲直りをしたくても、向き合いたくても、伝わらない。
「ペトラがどう思っているのか、なぜ、こんな事になってしまったのか……エミリはちゃんと理解してる?」
「はい。私が、ペトラとの約束を破ったから……私のことを思って、『頼って』って言ってくれたのに、私は……私のしたことは、ペトラを裏切ったも同然なんです……」
いつだってペトラは、気にかけてくれていた。仲間として、親友として、エミリのことを彼女なりに守ろうとしてくれていたのだ。
しかしエミリは、そんな親友の気持ちを踏みにじり、傷つけてしまった。それも、とてもズルいやり方で……。
「それがわかっているなら、後は思いをぶつけるだけだよ」
「……はい。だけど、ペトラは許してくれるでしょうか……」
それが、一番の不安だった。また、これまでのような関係に戻ることができるのか。
もう独りぼっちになんてなりたくもない。そして、大切な友達と縁が切れてしまうのも嫌だ。ペトラとは、これからもずっとかけがえのない親友でいたい。