Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第23章 親友
「審議の結果は聞かされたか?」
「あ、はい。モブリットさんから聞きました」
リヴァイやエルヴィン、ハンジたちが帰ってきたのは、つい先ほどのことだが、審議の結果は、その内容を記した封書を、王都に同行させていたヴァルトに運ばせたことで、モブリットにいち早く伝えられたのだ。
そうして、彼からエミリにも行き渡ったのである。
「ヴァルトは十分に役目を果たしているようだな」
「あの子は賢いですからねぇ」
「なら、お前もその賢さを少しは見習え」
「…………すみません」
自分の相棒が褒められ自慢げにしていたが、そんなことをしている場合ではない。
「ところで、リヴァイ兵長はどうしてここへ?」
「あ? お前の様子見に来るのに理由なんているのか」
「……あ、えっと。いえ……」
リヴァイのその言葉に、ドキリと胸が音を立てて弾んだ気がした。何となく目を合わせずらくて、リヴァイから視線を逸らす。
「まあ、用があったからここへ来たことに変わりはねぇが」
「あるんじゃないですか!!」
訳も分からずふわふわしていた気持ちが、一気にかき消される。期待した自分が馬鹿みたいではないかと頬を膨らませた。
(…………期待? 何に?)
そこで再び浮上する疑問に首を傾ける。三日間も檻に閉じ込められ、さらには同じことを繰り返していたせいで、どこか大切なネジが外れてしまったのだろうか。
(……寂しかったから、かな?)
三日間、狭くて暗い独房の中で、ほぼほぼ一人で過ごしていたため、きっと誰かが恋しくなっていたのだろうと理由を見つける。
しかし、それでもどこか腑に落ちない。何故だろうか。
考えても仕方がないため、エミリはリヴァイの用とやらを聞くために彼に向き直った。
「それで、用とは一体……」
「エルヴィンから、もう一つお前に罰だそうだ」
「…………また、ですか」
独房、始末書、壁外調査と薬物の作成・勉強の禁止令の次は、何を課されるのだろうか。
書類関連はもうやめてほしいと切実に願いながら、肩を縮こませてリヴァイの口が開くのを待つ。