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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第22章 「母さん……」




(でも、少しだけ……なれたの、かな?)


大きなお腹の中で懸命に生きる赤ちゃんを守ったことなどない。それこそ、赤ちゃんを産む時の痛みも、そのあと、子どもを育てる大変さだって、知らない。

そんな自分でも、ルルとこうして触れ合うことで、少しだけ、"愛しい"という意味を、わかることができたような気がする。


「ルル、ありがとう」

「……え? なんでおねえちゃんが、ありがとうって言うの?」

「ふふ、何ででしょー?」


不思議そうに首を傾げるルルの頬に、自分の頬を引っつけては、また強く抱き締める。


『かあさん、わたしね、大きくなったら……かあさんみたいになる!!』


今になって浮かび上がる、懐かしい記憶。
まだ小さかった自分が、口癖のように、毎日まいにち、大好きな母に向けて言っていた言葉だ。


(私の、一番最初の夢……それは、薬剤師じゃなかったんだ)


自分を最期まで愛してくれた、カルラのような母親になること。それが、エミリが生まれて初めて抱いた、夢。


(ありがとう、ルル。私の夢を、叶えてくれて)


本当の母親になることはできない。
母親としての生き方も、まだわからない。

それでも、"ごっこ"かもしれなくても、「おかあさんみたい」というルルの言葉は、確かにエミリの夢を、叶えてくれたのだ。

なら、夢を叶えたそのあとは、どうしていくのか……──


(……これからも、私が必ず守るから。ルルも、皆も)


兵士として生きる自分に、また一つ意味を与え、そして、戦おう。
この先も、この壁の中に平和と自由が訪れるまで……────
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