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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第22章 「母さん……」


身支度を終え、リヴァイと共にルルたちが入院している病院へ向かう。そこは、エミリが三ヶ月の入院を言い渡され世話になっていた、あの病院である。

看護師に病室へ案内してもらう最中、エミリが思い浮かべるのは、涙を流し、また、ボロボロの姿であったルルたちの姿。

子どもたちには、笑顔が取り戻されているのだろうか。
傷ついた心は、少しでも癒されているのだろうか。

そんなことを考えながら、案内された病室の扉の前へ立った。


「……ここが、ルルたちの病室ですか?」

「中にいるのはルルだけだ。状態が安定するまで、かなり時間が掛かったらしいからな」

「そう、だったんですか……」


さっき、リヴァイからルルのことを問いただした時は、そのようなことは言っていなかった。
おそらく、あの時は、混乱していたエミリを落ち着かせるために、あえて言わなかったのだろう。


「他のガキ共は別の部屋に居るが、ルルの方が気になるんだろう?」


薬を投与され、一度は呼吸が止まっていたのだ。そして、そんなルルの様子を間近で見ていたのだから、エミリがルルを一番気にかけてしまうのも無理はないと言える。
それに気づいていたから、リヴァイは先にルルの病室へ足を運んだのだ。そんな彼の気づかいに、エミリは鼻の奥がツンとするのを感じる。相変わらず、この上官には頭が上がらない。


「ハンジ、俺だ」


二回ノックをして、入室許可の声を待つ。コツコツと扉の奥からこちらへ歩み寄る音が聞こえ、それが止んだ直後、ゆっくりと扉がスライドされた。


「待ってたよ。リヴァイ、エミリ」


柔らかい表情を浮かべたハンジが顔を出し、『さあ、入って』と扉を全開に通り道を作る。
短く返事を返しては、病室へ足を踏み入れるリヴァイにエミリも続いて、恐る恐る室内を見回した。


「お姉ちゃん!!」


ガチャリ、と扉が閉まる音と同時に響く、幼い女の子の声。それは、決して弱々しいものではなく、確かに覇気が含まれていた。
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