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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第22章 「母さん……」




「やはり君は目障りだ。まさか、ここまでするとは思っていなかったよ。あれほど、僕の考えに対して反抗的だった君が、僕の部下を殺してまで計画を邪魔するなんてね」


ツーと赤い筋がエミリの首から流れ、服を染めていく。


「残念だけど、君にはここで死んでもらう」


その言葉に焦りを感じたリヴァイは、必死に立ち上がろうと体に力を込める。しかし、体はまだ言うことを聞いてはくれない。


「無理ですよ、リヴァイ兵士長。薬の効果は切れません。まあ、彼女がどうやってそれを振り払って動いているのかは、わかりませんがね」


それだけが、オドの心に蟠りを作っていた。しかし、もうそんなものはどうでもいい。
今、ここでエミリを殺せば、それで事は全て済む話なのだから。


「……いや、いっそのこと君を調べ尽くして、薬の効果が切れた原因を探るってのも面白そうだ」


路線変更とでも言いたげに口角を上げ、エミリの首にあてがったナイフを下ろそう手を動かした。その時、


「……や、めて……」


オドのスボンの裾を小さな手が引っ張る。
視線を足元へ移せば、苦しげに顔を歪めた実験道具が、彼を見上げていた。


「おね、がい……ルル、いい子で……いるか、ら。だから……おね、ちゃん……もう、きずつけない、で……」


途切れ途切れに紡がれる言葉。それとは正反対にルルの瞳はそうなることを望んではいない。
それでもそうすると選んだのは、ルルにとってエミリが大きな存在となっている証だった。


「……いい子に、か」


単語を復唱した悪魔は、再び笑みを消し、足を振り上げた。それは、ルルの体に直撃する。


「うっ、ぐ……!」


蹴られた小さな体は、地面に叩きつけられ小さく転がった後、動かなくなってしまった。


「…………る、る……?」


体が打ち付けられる音、ルルの呻き声にエミリはようやく意識を引き戻す。
咄嗟に振り向いた彼女の目に映ったものは、ぐったりと地面に転がって動かないルルの姿だった。


「……ルル? ルル!?」


叫んでも、ルルは反応を示さない。まさか、と最悪の事態が頭に浮かんだ。

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