Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第21章 黒幕
突然、リヴァイに口を塞がれたエミリは、動きを止めてビクリと体を強ばらせる。
予想外のリヴァイからの行動に、エミリの頭は真っ白になり、何も考えられなくなった。
「……ん、」
目を見開き固まったまま動かないエミリの唇の隙間から、リヴァイの舌が捩じ込まれる。
「は、んっ……!」
口内に入り込んできた熱にエミリは、そこでようやく思考回路が働き始めた。しかし、リヴァイの餌食となってしまった今、頭が正常に動くことはなかった。
「い、やぁ……はぁっ、ん……」
理性を取り戻したことを伝えるため、リヴァイを手で押し返すが、一向に離れてくれる様子はない。
それどころか後頭部に手が回されたせいで、二人の距離がグンッと一気に縮まる。
リヴァイは、エミリの口内を味わうかのように、舌を動かしては絡め取り、歯列をなぞって、口付けを更に深めていった。
「はっ……ん、ンん!! ンぅ……」
エミリがこんなにも激しいキスを体験したのは、これが初めて。それどころかエミリは、リヴァイに寝込みを襲われていたことを知らない。
だから彼女の記憶の中では、これが初めてのキスであり、初めて味わう大人のキスとなる。
「ふっ……ンん、」
朦朧とする意識の中、次第に抵抗する力も無くなっていく。加えて、腰の力も抜けているため完全にリヴァイに凭れ掛かる状態となっていた。
胸に込み上げてくる何か。
身体の芯から広がる熱。
リヴァイとの行為と漏れる聞いたことの無い自分の甘い声にエミリの頬は、羞恥心からほんのりと紅潮し、息苦しさからそこに一筋の涙が伝った。
「ん、はぁっ……」
獲物を捕食するかのような勢いで、しかし、優しくも甘い口付けに、エミリはリヴァイに身を任せる以外の術を知らない。
リヴァイのシャツを軽く握っては、目を閉じてそれを受け入れる自分がいた。
「……ン、」
何秒経ったのかもわからない。とてつもなく長い間、口付けを交わしていたようにも思える。
離れていく熱。名残惜しそうに銀糸がキラリと光り、やがてそれも消えてしまった。