Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第5章 壁外調査
途中、二体の巨人と遭遇したが無事、抜け道をくぐり抜けたミケ班は、そのまま第二拠点に向けて馬を走らせた。
早朝に壁を出たため、まだ太陽は空にある。腹の具合からして正午を過ぎた頃だろうか。エミリは今にもお腹の虫が鳴りそうな腹を手で抑える。
馬に揺られ立体機動で飛び回り、巨人との戦闘や仲間の死で精神的にも疲れが出ている中、食料は野戦食を第一拠点で食べただけ。慣れないことだらけで、新兵であるエミリ達の体力は限界に近づいていた。
「見えてきたぞ!」
ミケの言葉に、全員がホッと胸をなで下ろす。
壁外であるためまだ油断は出来ないが、とりあえずエルヴィンや仲間達と合流することができたことに安堵した。
第二拠点へ到着したエミリはミケに礼を言った後、ハンジ班とリノを探しに歩き回る。
「おーい! エミリーー!!」
「!」
元気な声が耳に入る。これは自分の班の上官のものだ。
振り向くと、大きく手を振りながらエミリの元へ突進して来るハンジが目に映る。
「ハンジさん!」
「いやぁ、無事で良かったぁ!! もう本当に心配したんだよ!?」
「すみません」
抱き着くハンジにエミリは眉を下げ謝る。
あの時、ペトラを助けに行くためとは言え勝手な行動をしてしまったことに変わりはない。結果的にエミリ自身もペトラ達も無事だったが、それはリヴァイやエルド、ミケ達の協力や援助があったからだ。
「うん、次からは気をつけて。壁外は何が起こるか本当に分からないからね!」
「はい!」
「あ、あとリノもそこにいるよ!」
「え」
ハンジが指差す方へ視線を動かせば、リノがエミリを見つめていた。
「リノ!」
エミリはハンジから離れ、リノの元へ駆け寄る。そんな彼女の顔に、リノは自分の顔を擦り寄せ尻尾を振っていた。
「リノ……ひとりにしてごめんね。あなたも無事で良かった……」
優しく頭を撫でれば、『ブルル……』と返事をする。そんなリノを優しく抱き寄せた。