Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第5章 壁外調査
「そうか、エミリはマリアの出身だったな。この森にも詳しいのか」
「はい! 案内します!」
「頼む。俺の後ろで馬を走らせてくれ」
「わかりました」
移動開始の指示をミケが出し、エルドはリヴァイ達の元へ戻って行った。
ペトラとオルオに馬に乗るよう促し、エミリも空いている馬に跨る。
リノは大丈夫だろうか。
自分の愛馬のことを考える。立体機動に移った時は、ハンジ班に付いていた。ハンジ達と共に行動していることを願う。
「エミリ!」
「フィデリオ!!」
エミリ達の姿を見つけたフィデリオが、馬を走らせて駆け寄る。
見たところ、彼にも大きな怪我などは見られず一先ず安心した。
「良かった……お前ら無事だったんだな。ん?」
そこでフィデリオの視線はオルオのズボンに移る。色が変わったズボンを見て、何があったのか分かったフィデリオは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「オルオ、お前チビったのかよ」
「う、うるせぇ!! そういうお前はどんなんだよ!」
「生憎、俺はもうオムツがいるような歳じゃないでな」
「なにぃ!?」
会った途端オルオを弄り始めるフィデリオにエミリは溜息を吐いた。
「フィデリオ」
「何だよ」
「ん」
エミリが顔でオルオの隣をクイッと示す。それに釣られて見れば、そこには顔を真っ赤にして俯かせるペトラの姿が目に入った。
勿論、それを見たフィデリオの顔は青ざめていく。
「あんた、もう少し発言に気をつけなさいよ」
「き、気をつける……」
気まづそうにペトラから目を逸らし、心の中で『すまん』と彼女に謝っていたフィデリオだった。