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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第5章 壁外調査




「さて、少し肩の力が抜けたところで……ミケ分隊長!」

「え」


ミケの姿を捉えたエルドは、そのまま下降して行く。エミリも慌てて同じように地面へと降り立った。

エルドの言葉に一瞬呆気に取られたエミリだが、すぐにその意味を理解した。

どれだけエミリが冷静でいてもやはり新兵。心の持ちようで言えば、当然のことだが上官や先輩らの方が強い。
友人であるペトラやオルオが巨人に襲われかけたことで、エミリの中に巨人に対する恐怖とはまた違った緊張感があることにエルドは気づいていたようだ。

改めて、エルドという兵士の凄さを実感する。
討伐数だけでなく、仲間達の変化をも感じ取り的確な判断を下すことができる。それも立派な兵士像の一つであるとエミリは思っている。


「──というわけで、彼女達をお願いします」

「わかった」


事の経緯をエルドから聞いたミケは、エミリ達の前へ歩み寄る。

三人は新しくミケの班員となったフィデリオの友人であることは、あの歓迎の宴の夜から知っているために、エミリ達の人柄や特技などはある程度頭に入れていた。
フィデリオだけでなく、彼を取り巻く周りの人間について把握しておくことも上官としての役目ということだ。


「さっき、信煙弾が撃たれていた。少し遠回りになるが、各自ここから一番近い出口から森を出て、第二拠点へ向かう形で進路が変更となったようだ。この森の中で全員と合流するのは無理だと判断したんだろう」


索敵が機能せず右翼側も壊滅的、一度陣形を閉じる必要がある。しかし、ここは森の中。入り組んだ道とこの大きな樹木があっては、現在生き残っている者達で合流することも難しい。


「一番近い出口……あ、ここから北北西に向かって少し進んだ所に、外に出るための小さな抜け道があります」


幼い頃、父であるグリシャと共に何度か巨大樹の森へ来たことがあった。
この森には、良い薬草が沢山育っているため、グリシャの薬草調達とエミリの薬学の勉強も兼ねて二人で遠出をしていたことがあるため、割と森の中の経路は記憶に残っている。
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