Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
真っ暗な部屋で僅かな火の光を頼りに、目を凝らして文字を目で追っていく。
『……あった!』
目的のものを見つけたエミリは、次に現在地を確認。
自分がいるであろう場所を探してみるも、身を隠すために急いで部屋に逃げ込んだために、ここがどういう部屋なのかわからない。
どうすべきか悩んでいると、雨音が小さくなっていることに気づく。
小さな窓へ視線を移して見れば、雨は止み、雲が少しずつ晴れ、月が顔を出し始めていた。
窓から射す僅かな光。それが真っ暗だった部屋を少々明るく照らしてくれる。
そのおかげでここがどういう部屋なのかも確認することができた。
『資料室1?』
ドアの上に書かれた文字を見つけ、エミリは再び地図へ視線を落とした。
自分がどこにいるか、それをようやく確認できたエミリは、地図を手に持ったまま静かに部屋を出た。
(ここから子どもたちの所まで一番の近道は……)
左を真っ直ぐと進み、5つ目の角で右折してから真っ直ぐと進めば、階段があるようだ。
それを使って地下1階へ下ればまた廊下がある。そこをまた真っ直ぐに進んで扉が見つかれば良いようだ。
その扉の向こうに、子どもたちが監禁されている。
確認を終えたエミリは、周囲に警戒を向けつつ静かに、けれどできるだけ素早く移動を始めた。
月の光を頼りに移動を続ける。途中、ここで実験に協力しているらしき従業員を数名見つけたりもしたが、上手く身を隠し、子どもたちの所を目指して進んだ。
何十分、掛かったのかはわからない。しかし、ようやく辿り着くことができた地下1階の扉前。
一つ、大きく深呼吸をして、ゆっくりとドアノブを握り、右へ回した。
(……開いてる!!)
施錠でもされているかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。もしかすると、中に人が居るのかもしれない。
僅かに扉を開き中を確認するが、暗くて何も見えなかった。しかし、物音が全く聞こえない。誰もいないと判断してもおそらく大丈夫だろう。
鈍い音を響かせ、エミリは扉を押し出し中へ足を踏み入れた。