Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
「今と比べてリヴァイはさ、結構問題児だったんだよ? 何せ、地下街では彼の名を知らないってくらい、有名なゴロツキだったらしくてさ。気性も荒くてねぇ。そんな彼を、よくエルヴィンも勧誘できたものだよ」
「あいつを勧誘するのは、かなり大掛かりな仕事ではあったがな……」
まさかそんな過去があったとは夢にも思わなかった。リヴァイが異例の形で調査兵団に入団したのだということも、誰が想像などできただろうか。
「かなり驚いてます……」
「だろうね。あの頃のリヴァイは、正に今とは正反対。リヴァイは周りと馴染もうとしないし、周囲の者たちも地下から来た犯罪者である彼を受け入れようとしなかった」
その光景も全く想像がつかない。
フィデリオたちは、兵士長としてのリヴァイの姿しか知らないからだ。
誰よりも強く、仲間思いで、部下から慕われている。そんな彼しか知らない。
「あの、その話……エミリは知っているんですか?」
「さあ、どうだろうね」
リヴァイが自分について語ることなど稀だ。何より、彼自身、あまり自分の過去をよく思っていないかもしれない。
白い目で見られるだろうと、考えていることもあるだろう。
(でもエミリには、自分から話しをすることがあるかもしれないね)
想い人だから、自分が犯罪を犯していた過去など知られたくは無いかもしれない。
しかし、エミリなら何の偏見も持たずにリヴァイを受け入れるだろう。
「いや、それは君らも同じか」
「ハンジさん?」
「何でもないよ。さあ、この話はまた後だ。エミリはリヴァイに任せて、この事件をどうするかについて考えよう」
エミリをここで失うわけにはいかない。
だけど、同じように知ってしまったからには、この事件を見過ごすこともできない。
この事件をどう解決するか、そして救出した子どもたちを今後どうすべきか、それらについてハンジたちは話し合いを始めた。