Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
「ああ、すまない。じゃあ、ここから順序よく説明していくとしよう……」
ハンジはゆっくりと息を吐いた後、眼鏡を外し頭に乗せては、全員と視線を合わせ再び説明を続ける。
「まず、エミリがこの資料を見つけた場所についてだけど……おそらく地下街ではない。地上──王都の何処かだ」
「何故そう言い切れる?」
「もし、エミリが地下街に迷い込んだりでもしたら……幾らあの子でも簡単に戻ることは不可能に近い。それは、リヴァイが一番よくわかってるんじゃないの?」
ハンジのリヴァイに対する問いかけ。それに反応したのは、本人ではなくフィデリオたちリヴァイ班の班員だった。
当然だろう。彼らは、リヴァイが地下街出身であることを知らないのだから。
しかし、部下たちを取り巻く空気の変化を感じながらも、リヴァイは動じない。
「…………まあな」
乱暴に答えては、目でハンジに説明の続きを訴える。
「そして、王都のどこで見つけたかについてだけど……ファティマ先生がいる薬屋支店の本社、その裏の森林内だろう。
そこには、今はもう廃れて使われていない研究所がある。おそらく、そこだ」
こんなとんでもない実験をするには最適な場所だろう。ハンジの見解はおそらくそれで合っている。
話を聞いていたエルヴィンも、同じように判断した。
「で、場所がわかったら今度は、いつかってことだけど……確か、10日ほど前だったかな。エミリが、ファティマ先生の講義を終えた後、ずぶ濡れになって帰ってきたことがあっただろう?」
「そう言えば……」
ハンジの話を聞き、記憶を遡らせる。
10日ほど前と言えば、確かにエミリは講義のために王都へ出掛けていた。
その日は、途中で大雨となり傘を持っていなかったため、全身ずぶ濡れ状態で兵舎に戻って来たのだ。
確か、その日からだ。エミリの様子がおかしくなったのは……