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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第20章 約束


更にハンジは続けた。

その資料を急いで自分の研究室に持ち帰り、班員たちと共にその中身を確認した。

そして、そのあまりの内容にハンジも、モブリットたちも驚きが隠せなかったと言う。


「…………この資料には、ある実験の計画や内容、機密事項など、実験の詳細について全てが記されていた」

「そのある実験、とは?」


おそらく、今回の事件の全貌であるその内容は、世間を揺るがす程のものなのだろう。
それをハンジや彼女の班員たちの様子から察したエルヴィンたちは、息を呑んで回答を待つ。


「……それは、開発中の薬品を幼い子どもたちに摂取させ、効果や副作用等の反応を検査する実験だ」

「……は?」

「えっ……それって、どういう……」


ハンジから発せられた真実が、あまりにも予想していなかったもので、全員が戸惑い始める。


つまりは、新たな薬を作り出すために幼い子どもたちが、実験台とされ利用されているということである。
子どもたちに摂取させ、成功か否かを判断しているのだ。

資料のデータからは、実験を受けた子どもたちの数人は、薬の副作用が強すぎて命を落とす子までいることが判明した。

また、体が弱く病気がちな子どもたちは、利用価値が無いものと見なされ処分される。それは、薬の副作用で生じた場合も同じ。


それらの内容に誰もが耳を疑い、そのような実験が裏で行われていたのだと冷や汗すら流れた。


「そして、もう一つ問題視すべきことがある。それは……」


ハンジは、言って良いものかと一瞬口を閉じる。そして、深刻な表情で話を聞くリヴァイを見た。

ハンジの戸惑いの視線を受け、リヴァイは眉を顰める。


これを聞けば、リヴァイはどう思うだろうか。


そんなことを考え、胸が張り裂けそうになるも必死に堪え、ハンジはリヴァイから視線を外し、こう口にした。


「…………この実験で使われている子どもたちは、全て……地下街から連れて来られた子たちなんだ」

「っ!!?」


その内容にリヴァイの目の色が変わった。

彼が反応するのも無理ないだろう。何故ならリヴァイも、その子どもたちと同じく地下街出身なのだから。

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