Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
ダンッ!!
「わっ!?」
突然、ペトラの目の前で勢いよく扉が開かれる。大きな音と、入口で戸惑いの表情を浮かべる人物の様子に、ペトラはただ事ではないと察した。
「そんなに慌ててどうしたんですか? 二ファさん……」
「…………ペトラ……」
膝に手を置き、肩で呼吸を繰り返す二ファの背中に手を当て、何が起きたのかと問い詰める。
「すぐに、団長室に集まって……!!」
「えっ?」
「私は、ミケ分隊長やナナバさん達にも伝えて来るから!! 訳は、団長室で話すよ! とにかく行って!!」
「……は、はい」
必死な形相の二ファの言葉に気圧され、今度はペトラが戸惑いながらも頷く。
ペトラが首を縦に振ったことを確認した二ファは、そのまま走って行ってしまった。
あんなに慌ててどうしたのだろう。
そんな気持ちが強いはずなのに、何故だかペトラには、何となく誰が絡んだ事件かがわかった気がした。
「……とにかく、行こう」
二ファに言われた通り、部屋を出て駆け足で団長室へ向かう。
足を進める度に早くなる速度。
荒くなっていく呼吸。
何が起きているのか早く知りたくて、脳裏に大切な親友の姿を浮かべながら、ペトラは団長室へと急いだ。
「ペトラです! 失礼します!!」
乱暴に扉を叩き、返事も待たずにそれを開ける。いつものペトラからは考えられない行動だった。
「ペトラ、君か」
「エルヴィン団長。これは……」
部屋に居たのは、リヴァイと彼の部下たち。もちろん、班員であるフィデリオとオルオたちも、リヴァイが座るソファの後ろで立っている。
エルヴィンの傍には、何やら分厚い資料を手に頭を抱えるハンジと、深刻な表情を見せるモブリットがいた。
ただならぬハンジとモブリットの様子に、ペトラの不安は更に倍増した。
「あのっ「団長、お待たせしました!!」
問いただそうとペトラが口を開きかけた時、後ろから先程と同じように焦った表情で二ファやケイジたちが、団長室へ駆け込んできた。
そんな彼女の後ろには、ミケやナナバたちの姿がある。
「全員、揃ったようだな」
呼び出した面子が団長室に揃い、エルヴィンが話を切り出すためソファに掛け直す。
そして、視線をハンジに移動させた。