Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
目的地へ到着した三人は、店内へ足を踏み入れ早速メニュー表を開く。
美味しそうな名前の料理が並ぶ中、皆で分け合おうとそれぞれ違う品物を頼み注文した。
運ばれてきたパンケーキやマフィン、そして少々奮発してホールケーキを一個頼み、皿に取り分けていく。
「……このケーキ、美味しい……!!」
「こっちのマフィンも、甘すぎずさっぱりしてて、生地もふわふわでとっても美味しいわ!!」
「でしょでしょー!!」
口に入れた瞬間、ほっぺが落ちそうになるほどの甘味に、エミリとペトラの手は休むことなく動いていた。
「エミリ、来て良かったでしょ?」
昨日、あまり乗り気ではなかったエミリだったが、今はとても幸せそうな表情でケーキを頬張っている。すっかりが気が変わってしまっていた。
「……うん」
アメリの問いかけにフォークを動かす手を止めたエミリは、数秒後に小さく微笑みながら頷いた。
「……ねぇ、エミリ」
少しだけ雰囲気が落ち着いたこの空間に、ペトラの静かな声が流れた。
「やっぱり、何かあったんだよね? なんでもないって言ってたけど、そうじゃないんでしょ?」
エミリの様子だけを伺うつもりで誘い出したが、やはりペトラは我慢できなかった。
隠し事なんて、してほしくなかったのだ。
何か力になれることがあるなら、エミリを支えたいと思うから……
「どうしても……言えないことなの?」
「…………うん」
「それはどうして?」
「…………」
「もしかして、私たちに迷惑かけるとか……そんなこと考えて「ペトラ!」
更に問い詰めようと身を乗り出したペトラを制したのは、もちろんアメリ。
ペトラと視線を合わせ、落ち着くように目で訴える。それを感じ取ったペトラは、口を噤んで椅子に掛け直した。
「私は何も聞かないよ。エミリのことだもん。きっと、止めたってやるんでしょ?」
「……アメリ」
「でも、少しでいいから……何か話して。してほしいことがあるなら言って。私もペトラも、いつだってエミリの味方だから!」