Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第20章 約束
「じゃあ、ここで一つ提案!!」
勢い良く片手を挙げて声を張るアメリの動作に、ペトラたちはギョッとする。
「提案……?」
「うん! 私とペトラとエミリと、三人で街にでも出掛けよう!! 喫茶店でゆっくりお茶でもしながらね!」
「…………え」
提案という言葉から予想されたものとは、全く違った内容に、ペトラの表情は固まった。
てっきり、エミリから話を聞き出す作戦でも思いついたのかと思ったため、思わず首を捻る。
「えっと……遊びに行くってこと?」
「いかにも!」
うむ、と頷いて見せるアメリだが、何故そのような提案をしたのか、ペトラもオルオも理解できなかった。反対にわかっている者も居る。
もちろん、それはフィデリオだ。
「エミリに聞き出そうっつっても無駄だ。お前らも、あいつの頑固さはわかってんだろ」
眠そうに欠伸をしながら説明を始めるフィデリオの話に頷いては、続きを促す。
「だから、せめて外に連れ出して様子見するしかないってことだ」
「そういうこと〜! さっすがフィデリオ!!」
「まあな!」
威張るフィデリオだが、別に威張れるほどのことではない。ペトラとオルオは、そんな友人をスルーして話を進める。
「で、エミリを外に連れ出すってのはいいけどよ……どうやってあいつを引っ張り出すつもりだ?」
「ふふん、それは私に任せて! わかってると思うけど、あの子って本当に単純だから!!」
余程自信があるらしく、アメリは両手を腰に当て笑顔を見せる。
隠し事をしながら引きこもってばかりのエミリが、本当にアメリの誘いに乗ってくれるのか不安だが、ここはもう昔からの付き合いである彼女に任せるしかなさそうだ。
「じゃ、さっそく行こっか!」
アメリはペトラの手を取り歩き出す。
目指すはエミリの仕事部屋だ。