• テキストサイズ

Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第19章 贈り物




「あれ、どうしたの?」


エミリたちが少し重たい空気を漂わせている最中、兵服に着替えたアメリがやって来た。

薔薇の紋章を背負った彼女は、エミリたちの強ばった表情に首を傾ける。


「あっ……ううん、なんでもないの!! さっ、隣に座って!!」


急いで笑顔を取り繕ったエミリは、自分とナナバとの間に一人分のスペースを空ける。
そこへ、お邪魔しますの掛け声と共にアメリはゆっくりと腰を下ろした。


「それで、アメリはどうしてここで働いていたの?」


兵士である彼女が、なぜ飲食店の店員として仕事をしていたのか。その謎を解明するために質問を投げかける。


「ああ、実は……この前、ついついお洋服を衝動買いしちゃってお金が、ね……?」

「そ、そんな理由で……」


何か深刻な理由でもあるのかと思っていたエミリとフィデリオは、盛大にズッコケて見せる。


「ま、女の子らしくていいんじゃね? むしろ、エミリは呆れてないで見習うべきだと思うけどな」

「だからうるさいって!!」

「まあまあ……」


再び口喧嘩を勃発させようとする二人の間に入ったアメリが、両手を前に出し二人を制する。


「そんな喧嘩してないで、調査兵団の皆さんのこと紹介してほしいな〜」

「あっ、ごめんごめん」


そう言えば、ちゃんとペトラたちのことを紹介していないことに冷静になって気づいたエミリは、慌ててエルヴィンから順番に紹介していく。


「────で、最後に彼女がペトラ。調査兵団に入団してからずっと一緒なんだ〜」

「ペトラ・ラルです。よろしくね!」

「アメリ・ヴィレンスクラフトです! こちらこそ、いつもエミリがお世話になってま〜す」

「それどういう意味?」


母親か、とアメリに対し不満顔でエミリはツッコミを入れた。
そんなエミリに楽しげに微笑むアメリ。つられてエミリも尖らせた口を元に戻し、そして笑顔を見せた。

笑い合う二人の姿から、彼女らは強く固い絆で結ばれているのだと、そばで見ていた誰もがそう感じていた。

/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp