Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第19章 贈り物
「あの、だから……なんで兵長なんです?」
「だってほら、リヴァイって女の子から人気あるじゃん? 年齢問わずにさっ!」
確かにリヴァイは、端正な顔立ちと人類最強とまで呼ばれる強さから、男女問わず憧れの対象である。
特に女性兵士は、彼を兵士としてだけではなく理想の恋人という目で見ている者もいるほどだ。
新しく入団した新兵の中にも、既に一目惚れをした者だっている。
それほど、リヴァイは注目されている兵士なのだ。
「だからさ、エミリもリヴァイのことそういう目で見てたりしないのかなあ、ってね!」
「別に見てないです」
エミリがそう答えた瞬間、グサリとリヴァイの胸に何かが突き刺さる。
「あれ、これも即答!? リヴァイと恋人になりたいなあ、とかって思ったりしないのお!?」
「当たり前じゃないですか。私と兵長が恋人なんて、絶対有り得ないですよ」
更にグサリ、グサリと追い打ちをかけられ、リヴァイは騒がしいハンジを黙らせる気力すら無くなっていた。
「リヴァイと恋人は、エミリにとってそんなに有り得ないことなのか?」
薄々リヴァイの気持ちに勘づいているナナバが、グラスを片手に固まった状態であるリヴァイの様子を伺いながら、控えめに問う。
「だって兵長ですよ? 私には勿体なさすぎますよ。兵長には、やっぱりもっと大人っぽい落ち着いた女性とか似合いそうですし……私みたいな子供っぽいのは好みじゃないと思いますよ? 兵長、ですよね?」
そう話を振られるが、正直どう反応していいのやらといったところだ。
エミリのリヴァイに対するイメージをつらつらと並べられるが、それはリヴァイがエミリに抱く感情と全く正反対のことを述べられているようなもの。
かと言って、この場で気持ちを打ち明ける訳にもいかないし、エミリの話に肯定もしづらい。
どうしたものかと頭を捻らせる。