• テキストサイズ

Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第19章 贈り物




「いやあ、何とな〜く気になってさっ!」

「答えになってない気もしますが……別に好きな人なんてできてませんよ」


エミリの答えにリヴァイは隣で安堵した。
これでもし誰か好きな人がいると答えていれば、何としてでもその男を聞き出しているところだ。


「ホントに〜〜?」

「本当ですってば……」


ハンジもなかなかくどい。
彼女がここまでエミリの恋愛に興味津々な理由は、もちろんリヴァイのことがあるからだ。

エミリのことで振り回されるリヴァイを見たいがために、こうしてエミリに絡んでいるのである。
そんな彼女の行動は、第三者から見れば明らかに迷惑行為そのものだ。


「つまんないなあ……」

「人の恋愛話で何考えてるんですか?」

「あ、そうだ! じゃあさ、気になってる人とかいないの!?」

「人の話無視しないでくれません?」


相変わらず自由人なハンジには、こちらの話など聞く耳を持たない。
適当にあしらうのが一番かと、反論するのをやめた。


「……気になるって、例えばどんなですか?」

「あの人と付き合ってみたいなあ、とかさ!」

「別にないです」

「即答!? いや、居るでしょ!? ほら、リヴァイとか!!」

「え、何で兵長なんですか?」


そこで何故リヴァイの名前が出てくるのかが理解できず、エミリは更に眉を顰め首を傾ける。
そしてリヴァイも、またハンジの暴走に巻き込まれそうな予感が見事に的中し、盛大に舌打ちを鳴らした。


「おい、クソメガネ。てめぇ、余計なこと言ってみろ。今すぐ訓練場まで引きずって削いでやる」

「ああ、はいはい。後でね。それよりもさあ、エミリ!」

「おい」


リヴァイの言葉を華麗にスルーし、再びエミリに詰め寄るハンジは、完全にめっちゃくちゃ面倒すぎる酔っ払いの奇行種に出来上がっていた。


「リヴァイとかどう思う?? 顔と口の悪さはともかくなかなかの優良物件だと思わない??」

「てめぇ、本気で削ぐぞ……」


ちゃっかり悪口まで挟まれ、自覚はしているもののハンジから改めて言われるとかなり頭にくる。
リヴァイの拳は、怒りから震えが増す一方だった。
/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp