Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第19章 贈り物
「いいか? 俺はな、もっと女らしくできねぇのかって話をしてんだよ!
お前は色気もねぇし、性格なんて男勝りで? すぐ手が出る暴力女で、さらにはまな板みたいな胸してるしなあ」
「あんた、ちょっといい加減にしなさいよ!? あんたのデリカシーの無さは前々からわかってたけど、ホントにさあ……。
どーせ、私は色気より食い気の女よ! 胸ないのがそんなに悪いのかコノヤロー!!」
「エミリ、どんどん口調が荒くなってるわよ。あと、本当に落ち着いて……!」
顔を真っ赤にさせて今すぐフィデリオに殴ってかかりそうな勢いのエミリを、ペトラはしがみついて必死に止める。
「あったり前だろ! 女は胸があってなんぼなんだよ!」
「おい、フィデリオ……お前もそろそろやめろって」
なかなか嫌味を止めないフィデリオを、そろそろまずいと感じたオルオが彼を止めるために間に割って入る。
エミリの胸関連の話になると、必ずエミリのパンチ、又はビンタがフィデリオのみぞおちや頬に入るのがお決まりのパターンである。
流石にこのままでは店にも迷惑だと考え、リヴァイはフィデリオの頭にゲンコツを食らわせる。
鈍い音とフィデリオの悲鳴が響き渡ると同時に、喧嘩の声が止んだ。
「フィデリオ、お前そのまま黙ってろ。耳障りだ」
「えぇ!? しかもなんで殴られるの俺だけなんですか……」
「あ?」
「いえ、なんでもありません……」
涙目で抗議すれば、人類最強の睨みつけるが浴びせられ、フィデリオは仕方なく口を閉じる。
「エミリよ、お前もだ。まあ、なんだ……貧乳と言われて腹立つ気持ちは理解できねぇこともねぇが、とりあえず落ち着け」
「……兵長……はっきりと貧乳って言うのやめてくれません? 今すごい、心にグサッてなんか刺さったんですけど……」
余程ショックを受けたのか、ペトラに抑えつけられたまま絶望的な表情を見せるエミリ。デリカシーが無さすぎたか、と謝罪の意味を込めて頭を撫でてやった。