Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第19章 贈り物
「大体ね、私のこと散々モテないとか言うけど、あんただって彼女すら出来たことないじゃないのさ!!」
「何言ってんだバカかよ! お前と違って俺は街中立ってるだけ可愛い女の子が来てくれんだよ! そこだよそこ!
彼女なんていなくてもなあ、お前と違って俺は可愛い子からモテてるから問題ねぇんだよ!」
「そのフラフラしたとこがチャラ男だっつってんのよ! ムカつく!
大体、恋人いないのがそんなにいけないわけ!? モテるからなんなの? 何がいいの? あんたのその考えがホントに理解できないんだけど!!」
どんどんヒートアップしていく二人の喧嘩。どれだけペトラとオルオがやめるように声をかけても二人の論争は止まらない。
「おい……こいつら、いつもこうなのか」
眉間に皺を寄せたリヴァイが苛立った様子で、疲れた表情を見せるオルオとペトラに問う。
「……はい。すぐこうなるんです……まあ、大体はフィデリオからちょっかい出してるんですけどね」
いつも言い合いになるのは、必ずフィデリオが何か嫌味を飛ばすのが先だ。
何故、ちょっかいを出したがるのかは理解不能だが、本人曰く、昔の名残だそうだ。益々意味がわからない、というのがペトラたちの本音である。
「前々から思ってたけどよお、お前の方こそ調子乗ってんだろ? 確かにお前はカルラおばさんに似てるけど、おばさんほど美人でもなんでもねぇから! 至って普通の顔だから!」
「はあ? あんたに言われなくてもわかってるわよンなこと! あんたこそ、私から見たらあんたの顔なんて、顔面偏差値平均以下よ!!」
「それはお前の目が腐ってるからだろうが! 眼鏡つけた方がいいんじゃねぇの? 大体、俺の顔を平均以下なんて評価するお前、ホントに見る目ない最低野郎だな!」
「最低で結構!! 私よりも最低なのが目の前に一人いるから!!」
この喧嘩は、いつになったら終わるのだろうか。
ピクリと眉を動かし、リヴァイの怒りのボルテージがどんどん上昇していく。
反対に、ハンジは腹を抱えて絶賛大爆笑中である。エルヴィンとミケは相変わらず静かに酒を飲んでいた。