Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第19章 贈り物
「よおし、なんか偶然リヴァイとエミリも揃ったし、改めて乾杯と行こう!!」
偶然、という部分を強調してグラスを掲げるハンジ。鋭いリヴァイの睨みを感じるがそれを無視して乾杯の音頭を取った。
「エミリ、何食べたい? 好きなの頼んでいいからね!」
「ありがとうございます!」
ハンジからメニュー表を差し出され、早速それを開きメニュー表に齧り付く。
目的はケーキの食べ放題だが、その前にちゃんと夕食を取っておきたい。
「えっと、どれにしようかなあ……」
魅力的な名前が並び、エミリの口の端からはヨダレが垂れそうになっている。
「なんなら、お肉でもいいよ! リヴァイの奢りたんだからさ!」
「うるせぇ、クソメガネ。黙れ」
「だって、ホントのことでしょー?」
「俺が奢るのはこいつだけだ」
そう言って、メニュー表に夢中のエミリの頭をガシガシと強めに撫でて見せる。
その光景にハンジはさらに笑みを濃くした。
「兵長、私これ食べたいです」
不機嫌が上昇していくリヴァイに、エミリは呑気にメニュー表を見せてはリクエストをしている。
そんな彼女の度胸もなかなかだ。と、周りで静観していたペトラたちは思った。
エミリが指差すのは肉料理。どうしても食べたいと目で訴えてくる。
「俺に聞かなくても好きなもん食えばいい」
「ホントですか!? じゃあ、あとこれとこれとこれと、これも食べていいですか!?」
「お前、そんだけ食ってケーキ食えんのか……」
「何言ってるんですか。ケーキは別腹です」
エミリは、真顔でそう言い放つ。
本当にどんな胃袋をしているのか気になる。もう好きにしろと返事をすれば、エミリはウキウキしながら店員にオーダーを取ったのであった。