Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第19章 贈り物
それから数日の間、調査兵団で薬草園の建設が行われた。
この時期は班の編成や新兵の入団などで慌ただしいため、ファティマのことや薬剤師関連のことは全てエミリに一任された。
訓練と少しの勉強を両立しながらも、薬草園の建設を手伝ったり、仕事部屋の作成や新兵の教育などにも携わったりと、かなりハードな日々を送っていた。
そのせいか、一日が過ぎるのがとても速い。疲れも感じるし、休む暇もない時もあった。
それでも、好きなことに打ち込めるこの時間が、エミリには特別なものに感じられた。
そんな日常の中、また一つの朗報がエミリの耳に入る。
「エミリ! 聞いて聞いて!!」
専用の仕事部屋を与えられ、家具を整理していたエミリの元へ飛び込んできたのは、嬉しそうな顔を浮かべたペトラだった。
「ど、どうしたの? 何か嬉しいことでもあったみたいだけど……」
頬をほんのりと赤く染め、興奮気味のペトラの勢いに押される。
そう言えば今朝、一緒に朝食をとっている時にリヴァイに呼ばれているという話を聞いた。
それは、ペトラだけでなくオルオとフィデリオもだそうだ。
おそらく、その話と何か関係があるのだろう。
「あのね……私、リヴァイ班に任命されたの!!」
「…………え、えぇ!?」
一番伝えたい内容を言い切ったペトラのテンションが、さらに上がる。
その内容を聞いたエミリも、驚愕からどう言葉を発していいかわからなかったが、自然と嬉しさの方が勝っていく。
「おめでとう!! ペトラ、凄いよ! あのリヴァイ班に任命されるなんて!!」
特別作戦班、通称リヴァイ班。
人類最強の兵士長の下で戦う精鋭が集う部隊だ。彼の班に入るには、優れた戦績を収めなければならない。
何せ、壁外調査で最も危険な索敵を担当することとなるのだから。
それに選ばれたペトラの戦績は、余程高く評価されたのだろう。