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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第5章 壁外調査




「総員! 立体機動に移れ!!」


その言葉を合図に、ブレードを手に兵士達が立体機動装置を使って飛び上がった。

吐き気がするような、不気味な笑みを浮かべて近づいてくる巨人達。前と後ろで挟まれ、逃げ道が塞がれてゆく。

エミリも上官や先輩らに続いてリノから飛び上がろうとしたその時、


「うわああああ!!」


叫び声が森の中に響く。

樹木に隠れていた巨人が横から手を伸ばし、一人の男性兵士を掴みあげた。
骨が砕かれ吐血する音は、耳を塞ぎたくなるような痛々しいもので、その兵士は呆気なく巨人に食われてしまった。

口の周りを人間の血液で真っ赤にした巨人が、ゴクリと喉を鳴らす。
そして、まるでその音が合図であるかのように、四方八方から巨人が現れた。

先程の兵士のように巨人に食われる者は勿論、馬ごと吹っ飛ばされる者、踏み潰される者など状況は最悪だった。


「き、巨人が……あんなに……」

「……もう、ダメ、だ……」


同期達の震える声が耳に入る。
優秀な兵士達が巨人に襲われる光景を目の当たりにして、平常心を保つことなど不可能に近い。

けれど、このまま恐怖心に負け縮こまっていては、巨人の餌になるだけだ。


「リノ、行ってくるよ!」


愛馬に力強く声をかけ、そしてエミリは空中へ身を投げる。

とにかく、今は的確な状況判断が必要だ。このまま巨人を倒すことだけ考えては逆効果。新兵である自分は上官らの指示の元、行動していくことが重要だ。

エミリはそのままハンジの元へ移動するため、また別の樹にアンカーを掛けようとした。その時、


「きゃあああ!!」

「!?」


ペトラの悲鳴が聞こえた。

すぐに近くの樹へ着地して見れば、巨人に弾き飛ばされたのか、腕を押さえながら樹の根元に座り込むペトラの姿が目に入る。

そして、彼女の前には13m級の巨人が立っていた。

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