Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第18章 分かれ道
「談話室で何かあるの?」
「うん、ちょっとね」
エミリが質問すれば、クスリと含みのある笑いを零す。相変わらず楽しそうに歩いているペトラが、何を考えているのかわからなくて再び首をかしげた。
「ところで、さっき二ファさんから団長室に呼ばれたって話を聞いたけど、何かあったの?」
「……えっと、うん。まあ、ね……」
流石にこの話に関しては、郊外しない方が良い。喉まで出かけた言葉を瞬時に呑み込んだ。
「……また、何か悩み事でもできた?」
「いやあ、えっと……」
「見てればわかるよ。本当にエミリって、隠し事するの下手ね」
「もう、そういうこと言わないでよ〜」
たった数秒で見抜かれてしまい、どれだけ嘘をつくのが苦手なのだろうとガックリ肩を落とす。
しかし、内容まではバレていないため、一応問題は無いだろう。
「何に悩んでいるのかわからないけど……エミリが出した答えならきっと大丈夫だよ」
「……そう、思う?」
「もちろん!」
ペトラは、エミリの悩みの種を知らない。けれど、例え知っていたとしても、彼女は同じ言葉を送るのだろうと、そんな気がした。
「……ありがとう」
「うん! さて、着いたよ!」
一通り話を終え、ペトラは談話室の扉の前にエミリを立たせる。
一体、扉の向こうには何があるのだろうか。ドキドキと胸が高鳴るのを感じながら、ペトラがドアノブを捻るのを待った。
「それじゃあ、開けるね?」
「うん」
ペトラの合図に一回頷いて見せる。それを確認したペトラは、握ったドアノブを捻り、ゆっくりと扉を押し出した。
「…………え」
扉の向こうに隠されてあったものが目に飛び込んでくる。
エミリは、ただ小さく声を漏らすことしかできなかった。