Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第18章 分かれ道
談話室に設置されてある机に並んだ、たくさんの美味しそうな料理たち。
その上には、”お疲れさま会”と書かれた垂れ幕が、天井から下げられていた。
そして、そのテーブルの周りには、フィデリオやオルオ、二ファたちハンジ班を始め、たくさんの仲間たちが温かい笑顔を見せ、エミリを迎える。
「「エミリ、試験お疲れ様!!」」
ペトラと二ファが声を重ね、このお疲れさま会の主役に言葉を送った。
「…………これは?」
「皆で準備したんだ。結果は残念だったが、せっかく頑張ったエミリにサプライズで何かしてやろうとな」
入口に突っ立ったまま、反応を見せないエミリの元へ歩み寄り説明するのは、フィデリオの上司でもあるナナバだった。
「驚いただろう?」
エミリの顔を覗き込み問いかけるナナバは、してやったりと口角を上げた。
目の前に映る光景とナナバの言葉を理解し、ようやくエミリは表情を和らげ、口元を綻ばせる。
「……はい、とても」
「そうか。それは良かった」
嬉しそうに頬を染めるエミリの表情に満足したナナバは、ポンポンとエミリの頭に手を乗せる。
「ほらほら、エミリ! ここで突っ立ってないで、早く入って!!」
二ファに手招きされ、そしてペトラに背中を押され、恥ずかしげに頬を赤らめながらも部屋の中へ足を踏み入れる。
「エミリ! 今日はお前もたくさん飲めよ!!」
「ちょっとゲルガー、あんまり部下に酒を煽るんじゃないぞ」
エミリの肩に腕を回し、片手に持つ酒瓶を掲げたゲルガー。そんな彼に冷たい視線を送るのは、やはりナナバだ。
「いいじゃねぇかよ、こういう時くれぇ! な?」
「あはは……」
「ゲルガーさん、エミリが困ってますよ」
苦笑を浮かべるエミリに絡むゲルガーに、リヴァイ班であるエルドが程々にと割って入る。
「おお! エルド、グンタ、お前らも飲めよ!!」
「今日の主役はエミリだということ忘れないで下さいね」
既に一人ではしゃぐゲルガーに、グンタは頭を抱えていた。
最終的にこの酔っ払いは無視してパーティをしようと勝手に話が進んでいく。
そんなおかしな光景に、エミリは腹を抱えて盛大に笑った。