Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第17章 未練
馬車の中でエミリは、エレンから届いた手紙の封を開ける。中から出てきたのは三枚の便箋だった。
一枚目はミカサからのものだ。
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姉さんが薬剤師試験を受けるという話は、エレンから聞いた。
最終試験まで進んだという報告をもらって、私もとても緊張している。
だけど、姉さんならきっと大丈夫だって、私は思ってる。
姉さんはいつも明るくて優しくて、私が家に引き取られてからずっと、本当の妹として接してくれた。
そんな姉さんなら、きっと素敵な薬剤師になれる。だから、頑張って。
ミカサより
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愛する妹からの手紙に、エミリは少し涙ぐんで次の便箋を開いた。
これは、アルミンからのものだ。
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姉さんはいつも、自分よりも誰かのために一生懸命で、僕はずっとそんな姉さんに憧れていました。
僕も姉さんみたいになれたらって。
だけど、僕は姉さんやエレンたちみたいに強くなくて、いつも皆に助けてもらってばかりでした。
そんな時、姉さんは必ず僕に言ってくれたよね。
「アルミンは、とっても強い子だよ」って。
そんなことないって思いながらも、姉さんに言われると少し自分に自信が持てました。
姉さんは、誰かを元気づけることが得意で、そんな姉さんは、絶対に薬剤師になれると僕は思っています。
アルミンより
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エミリの目の縁に涙が溜まっていく。
それを指で払い、最後の便箋……エレンからの手紙を開いた。
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薬剤師まであともう少しだな。
俺は試験のことはよくわからないけど、アルミンに教えてもらって最終試験まで進むことがどれだけ難しいことかを知った。
昔から姉さんは、俺よりもいつも先を歩いてて、俺はいつもそんな姉さんの背中を追いかけて、姉さんを追い越すどころか追いつくことすらもできていない。
だから俺はただ、俺よりも姉さんの方が優れているだけなんだって、勝手に決めつけてた。
だけど、この前姉さんと話して思ったんだ。姉さんも一緒なんだって。
そしたらすげぇ安心して、なんだか姉さんは隣に居るようにも感じた。
でも、やっぱり姉さんが遠い場所にいるって思うのは、目標のずっとずっと先を求めているからなんだ。
もうすぐ、こっちも進級試験がある。俺も頑張るから、姉さんも頑張れよな。
エレンより