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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第17章 未練




「とにかく、フィデリオのことは置いときましょ! それよりもこれ!」


にこやかな笑顔でペトラが差し出したのは、布で包まれた四角い箱のような物。不思議そうにそれを受け取ったエミリは、首を傾けてそれをまじまじと見る。


「これは……」

「お弁当! 今朝、早起きして二ファさんやナナバさんたちと作ったの!!」

「え、そうなの……?」


ペトラと、後ろに並んで立っているの二ファとナナバを見れば、笑顔で頷いてくれた。

それは、少しでもエミリの試験の力になれればと思ったペトラの提案だった。


「ありがとう! いただくよ!!」

「うん! それ食べて頑張ってね!!」


弁当を持つエミリの両手に、ペトラが手を重ねる。きっと受かりますように、と祈りを込めて……


「エミリ、あとこれ」


そんな二人の間に、ハンジが一通の手紙を差し出す。突然、ひょいと目の前に出されたエミリは、驚きながらもそれを受け取った。


「この手紙って……あっ」


差出人を確認すれば、そこには弟の名前が書かれてあった。


「さっき、ポストを覗いたらそれが入ってたんだ!」


このタイミングでこの手紙、間違いなくエミリへエールを送るために書かれたもので間違いないだろう。


「試験会場に着くまでの間、緊張もするでしょ? 馬車の中でゆっくり目を通すといいよ!」

「はい! ありがとうございます!」


さて、そろそろ時間が迫ってきた。ここで言葉を交わすのはお終いだ。

「頑張れよ!」と、応援の言葉を受け取り、それに応えてから馬車に乗り込む。


「エミリ」

「あ、はい」


扉を閉めようとしたその時、彼女を呼び止めたのはリヴァイだった。

馬車の中から顔を出すエミリの元へ歩み寄り、そして、片手を優しく頭に乗せて口を開いた。


「自信を持て」


その一言に、エミリは一瞬、呼吸をすることを忘れ、頭に置かれているリヴァイの手の温もりだけを感じていた。

ずっと言われ続けていた「もっと自分に自信を持てばいい」という言葉。
皆が認めてくれていても、やはり自分の中に未熟さを感じていて、なかなか自分を信じることができなかった。

だけど、今なら……大丈夫。


「はい!」


前を向いて挑もう。
自分の夢を叶えるために……
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