Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第17章 未練
「エミリ? どうかしたの??」
「……くさい……」
「ん?」
「ハンジさん……臭い……」
ハンジの顔が近づけば近づくほど、エミリの目は涙目になっていく。そろそろ限界なのか、とうとう鼻まで押さえていた。
「え、そんなに臭う? おっかしいなぁ〜5日前にはちゃんとシャンプーで頭洗ったよ?」
「「5日前!!?」」
ハンジの衝撃的な発言に、エミリとペトラは揃って声を上げた。
見事にハモったそれにハンジは、ケラケラと呑気に笑っている。
「そんな同時に驚くことでもないでしょ〜? 大丈夫! 3日おきにはちゃんと水浴びもしてるから!!」
「「…………」」
水浴びですらも3日おきだと?
エミリとペトラは驚きで二の句が紡げずにいた。そして、二人は顔を見合わせ深く頷き合う。
信頼から成るアイコンタクトは、お互いの気持ちが見事にシンクロした。
エミリはハンジの左、ペトラが右に立つ。そしてハンジの脇へ腕を回し、グッと持ち上げた。
「え、何なに? 二人ともどうしたの?」
真顔で見下ろす二人に、ハンジは戸惑いの表情を浮かべている。
「……ハンジさん、お風呂に入りましょう」
「え」
そしてエミリとペトラは、大浴場へ向かうためにそのままハンジを引き摺って部屋を出た。
「えぇぇええぇえ!! 待って待って!! 風呂なんて入ってる時間ないんだってば!!」
「何言ってんですか!! 寝てる暇はあったじゃないですか!!」
じたばたと両腕両足を振り回すハンジに手こずりながらも、逃がさないようにがっちり腕を掴んで風呂場へ連行していく。
「ああぁぁ!! 嫌だあ! 風呂は明日水浴びする予定だからさぁ!!」
「水浴びだけでこの臭いが取れると思ってるんですか!!」
駄々を捏ねる上官に説得を試みながら、ペトラと2人で力いっぱい引き摺っていく。
そしてとうとう、大浴場へ到着した。が、問題はここからだった。