Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第17章 未練
ハンジに強制連行され食事会を開いた次の日、昨日の賑わいのせいかエミリの緊張は一次試験の時と比べて落ち着いていた。
やはりハンジが気を遣ってくれていたのだと、当日を迎えてそれを実感する。
お陰で、落ち着いて時間内までに問題を解くことができた。しかし、その結果はエミリの中では決して良いと言えるものではなかった。
「はぁ……」
試験を終えてからもう何度溜息を吐いたかわからない。それほど、今回の試験は自信がなかった。
というのも、一次試験よりも二次試験の方が、当たり前だが試験問題の難易度が上がっているからである。
試験はもう目前、というところでエミリは、勉強方法を基礎固めへ変更した。
その分、最初に提示される基本問題は難なくクリアできた。
しかし、問題の難易度が上がっていくことに、正解率が下がっているようにしか感じられなかった。
「ああ〜……自信ない。ムリムリ。詰んだ……テスト詰んだ……」
兵舎に帰って早々、食堂の机に突っ伏するエミリに、隣に座っていたペトラが、ポンポンと彼女の背中を優しくさする。
「元気だして、エミリ。論述問題は自信あるんでしょ?」
「……それは、そうだけど……論述だけで通れるほど二次試験は甘くないし」
結果を知るのが恐ろしすぎて、自己採点もできない状態だった。
本当に落ちた気がしかせず、心に何十kgもある重がぶら下がっているかのようだ。
「もう一週間後イヤ……」
一次試験と同じく、結果が届くのは試験から一週間後。それまでの間、ドキドキしながら最終試験・実技の特訓に取り組まなければならない。
しかし今は特訓する気にもなれず、ひたすら項垂れていた。
「ほらほら、元気だして! 終わったことをズルズル引き摺るなんてエミリらしくないよ!! 最終試験の準備しよう!」
「……うん。そうだね」
ペトラの掛け声に少し気を取り直したエミリは、席を立ってハンジの研究室へ向かった。