Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第17章 未練
「エミリ、今日はお出かけしよう!!」
「…………は?」
一次試験通過の通知が届き一日が経った。
明日の二次試験に向けて今日もはりきって勉強をしようとテキストを開いたエミリの前に、突然奇行種が姿を現した。
そして、冒頭の会話に至る。
「あの、私……試験勉強したいんですけど」
「どこ行きたい? やっぱ美味しいもの食べに行きたいよね!!」
「いえ、ですから」
「そうだ!! この前エミリが行きたいって言ってたレストランはどう?」
エミリの話を華麗にスルーし、自分の用を押し付ける上官に溜息を吐いた。
「ハンジさん!!」
「ん?」
「遠回しなことしないではっきり言って下さい! なんたってこんな日に限っていきなり出掛けようなんて……」
エミリは疲れた表情で暴走している理由を問う。
ハンジは笑みを讃えたままじっとエミリを見つめているだけで、何も話そうとしない。
「……あの、ハンジさん?」
「うーん……そうだなぁ……」
腕を組みながら「どうしよっかな〜」と何度も呟くハンジの考えが読めない。エミリの首は傾く一方である。
「お、皆来たね」
「へ?」
突然、パッと顔を上げて誰かを見据えるハンジ。エミリも釣られてそっちを見れば、モブリットや二ファたちハンジ班のメンバーがこちらへ歩いて来ていた。
「分隊長、急に呼び出して今度は何ですか……?」
モブリットが肩を落とし、遠い目をしながらハンジに問いかけている。
彼のその質問から、エミリの今の状況と同じように、何も知らされずにハンジに用を押し付けられているらしい。
「皆で飲みに行こう!!」
「「「「…………は?」」」」
ハンジに意味不明なことを言われたモブリットたちは、冒頭であったエミリの反応と全く同じそれを見せたのであった。