Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第17章 未練
「あ、皆ここに居たんだ」
ペトラの声に反応したエミリが、にこりと微笑んで三人の元へ歩み寄る。
「エミリっ!! 試験、どうだった??」
ペトラがエミリの腕を掴んで問い詰める。
ずっとそれが気になって仕方が無かった。昨夜は、緊張していたのか、ずっとソワソワしていたエミリの様子を知っていたから。
「……うん。多分、一次はいけるかも……割と手応えあったし」
問題の量が多く、解いた後に見直しする時間は無かった。その代わり、一問一問を慎重に解いていった。
問題用紙も回収されるため、帰ってから自己採点することもできない。
だから、あくまでこの可能性は勘だ。
けれど、「いけるかも……」と思えるほどの手応えがあったのも事実。
「……そっか……」
とりあえず悪い結果でないことを知ることができ、ペトラは大きく息を吐いた。
しかし、まだ通過が決まったわけではないため、安心はできない。
「……結果は、いつ知らされるの?」
「一週間後に郵送されるって。……また、このあと勉強しなきゃ……」
一次試験が通過すれば、二日後に二次試験が行われる。結果を待っている暇は、エミリには無いのだ。
夕飯を食べた後、すぐに二次試験の勉強に取り掛からなければならない。
「エミリ、今日は休め」
「えっ……」
しかし、そこへエミリとペトラの会話をずっと聞いていたフィデリオが口を挟む。
その内容は、エミリがこれから取り組もうとしている事に対し否定する言葉だった。
「休めって……でもっ」
「いいから休め。今日は緊張もしたし、いつもより頭も使って疲れただろ。休むことも受験勉強には必要なんじゃねぇの?」
ボリボリと頭を掻きながら、ぶっきらぼうに理由を話すフィデリオ。
そんな幼馴染の姿に、エミリはプッと吹き出す。