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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第15章 賢者




「ヴァルトを伝達に利用する」


エルヴィンの提案に、シン……と辺りが静まり返る。そして、エミリとペトラ、フィデリオが声を揃え、


「……は、はいいい!!?」


と叫んだ。


「おい、うるせぇぞ。お前ら……」


キンッと耳に響いたのか、リヴァイは鬱陶しそうに顔を顰めている。

そんな彼を放ってエミリは、忙しそうにエルヴィンとヴァルトを交互を見ながら騒ぐ。


「でんたつ……伝達って、どうやってやるんですか?? だってだって……うぇ!?」

「エミリ、取り敢えず落ち着け………」


混乱して頭がこんがらがっているエミリに、ケイジが冷静になるよう促す。


「一つずつ説明していこう」

「へ?」

「まず、ヴァルトと再会したのは、狼に襲われた時で良いな?」

「そう、ですけど……」


口元に笑みをたたえたまま説明を始めるエルヴィン。エミリは戸惑いながらも、質問に答える。


「では、その後リヴァイと会うまではどうしていた?」

「……森の中を飛んでいくヴァルトに着いて行きました」

「そうか。なら、リヴァイ」

「……何だ?」


急に話を振られたリヴァイは、一瞬だけ面食らった表情を見せる。そして、すぐにいつもの涼しい顔に戻し、エルヴィンの質問を待った。


「エミリを保護した時、ヴァルトの姿はあったか?」

「いや、無かった。それがどうかしたのか……?」

「成程。少しずつ状況が見えてきた」


一人で納得した表情を見せるエルヴィンに、リヴァイが早く説明しろと冷たい視線を送る。


「リヴァイがエミリを見つけた時、おそらくヴァルトはどこかに隠れて様子を伺っていたのかもしれん」

「隠れて、ですか……?」

「ああ。ヴァルトにとって、リヴァイは初めて見る人間だろう。もしエミリに何かあった場合、襲えるように身を潜めていたのだろう」

「ヴァルト、そうなの?」


ヴァルトに話を振れば、エミリの腕の上で呑気に毛繕いをしていた。

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