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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第15章 賢者




「エルヴィン団長、あの……」


もしここに残すとなれば、この調査兵団で飼うことになる。そのためには、エルヴィンの許可が必要だ。
エミリの勝手な判断で残すわけにはいかない。


「ヴァルト、ここで一緒に暮らしても……いいですか?」


エミリの要求に、エルヴィンは顎に手を添え考え込む。

エミリの望みを叶えてやりたい。けれど、フクロウを飼うとなれば、それなりに費用も掛かるわけだ。調査兵団は、いつもギリギリの予算で壁外調査を行っている。
それならばエミリの給料で、と思っても彼女の収入は、上官らと比べてまだまだ低いため、限界があるだろう。


「……何か、兵団にとってメリットがあれば良いのだが」

「メリット、ですか?」

「ああ。内容によれば、上手く上と交渉して資金を増やすことが出来るかもしれん」

「な、なるほど……」


兵団のメリット。それが、ヴァルトを飼う条件であるということは、すぐに理解した。

ペットとして飼うことになると自費で賄わなければならない。それを避けたいのであれば、ヴァルトが壁外調査で貢献できる能力を見出せばいい。そうすれば、正式な兵団の一員とみなされ、費用が援助されるかもしれない。


「うーん……メリットかぁ」


とはいえ、急にそんなアイディアが出るはずもない。
フクロウが調査兵団の一員になるなど前代未聞。そして、誰も予想などしないだろう。


「ねぇ、エミリ」

「はい?」


エミリが首を捻って考え込んでいると、ヴァルトに顔を近づけて観察していたハンジが難しい顔をしてエミリを呼びかける。


「さっきから思ってたんだけど、この子ってもしかして、他のフクロウと比べて賢かったりする?」

「え? それは……よくわからないですけど……。どうして、そんなことを?」

「いや、いくらエミリのことが好きでもさぁ、あの森からこの兵団本部まで着いてこれるものなのかなって思って」

「確かにそうですね……」


一体あの距離をどうやって着いてきたのか。
鳥の知能指数なんて知らないため、想像することも難しい。
フクロウは、一般的に「森の賢者」などと呼ばれていることから頭が良いイメージがあるが、果たしてそれは本当なのだろうか。

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