Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第15章 賢者
「でも、助けるって……どうやってエミリのこと助けたんだろう」
「確かにそうですね……」
二ファの疑問にペトラが同調する。確かに、狼を襲うフクロウなど、誰も想像しないだろう。
「もしかすると、獲物を捕らえる時と同じ方法で、狼を追い払ったんじゃないか?」
二人の疑問にすぐさま答えたのは、エルヴィンだった。
「フクロウは猛禽類だから、獲物を捕獲する際は足の指を広げて獲物の背中に長く鋭い爪を突き立てる。そのまま獲物を押さえつけ、強力な足の握力で絞め殺すんだ」
「フクロウの足の力って、そんなに強いんですか?」
「人間の握力でいうと、100kg以上だと言われている。まあ、人間が捕まれたら確実に皮膚は破れるな。フクロウは大体小動物を狙うが、獲物が大きい時は、絞め殺してから首を外して少しずつ食べるそうだ」
物知り博士のエルヴィンから聞かされたとんでもないフクロウの生態に、青ざめた二ファとペトラは、身を寄せ合いながらササッとエミリから距離を取る。
「もう、二ファさんもペトラもそんなに怖がらなくても大丈夫ですよ〜……多分」
「多分って何!?」
笑顔のまま曖昧な発言をするエミリ。ペトラは更に縮こまって二ファの腕にしがみついていた。
そんなペトラの様子が面白いのか、ハンジは腹を抱えて笑っている。
「アハハ! そんなにフクロウが怖い?」
「怖いというか……フクロウって結構大人しい鳥だと思っていたので……」
「う〜ん……確かにフクロウは、普段は穏やかで大人しい生き物だけどね」
「そ、そうなんですか?」
「うん。ただ、繁殖期には雛を守るために攻撃的になるだけであって、大したことないと思うよ!」
「え、攻撃的……?」
フクロウが人間に攻撃する姿でも想像したのか、再びペトラは青ざめる。
「でも、ヴァルトはオスだから子供を産む心配もないし、大丈夫だよ」
「やっぱりオスなんだ……そっか、じゃあ大丈夫かな」
「うん。わざわざ私を助けにきてくれたくらいだし」
「ね〜」とエミリがヴァルトに話し掛けると、ヴァルトは首を回して反応を見せてくれた。