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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第15章 賢者


エミリが叫んだ直後、今度はバサリと羽の音が響き渡る。そして、ようやく鳥は姿を現した。
長手袋を嵌めたエミリの左腕にゆっくりと着地したのは、騒ぎの原因となっていた鳥──フクロウだった。

クリクリとした大きな目が、エミリの顔を捉えて離さない。


「……ヴァルト……」


フクロウと見つめ合いながら、掠れた声でエミリが呼びかけると、「ホーホー」と小さな鳴き声を聞かせてくれる。

エミリはそれが嬉しくて仕方が無かった。また会えたこと。そして、自分の呼びかけに答えてくれたことが。
一筋涙を流し、フクロウ──ヴァルトの頭に思わず頬擦りをする。


「鳥の正体って、フクロウだったんだね……」

「私、フクロウって初めて見ました」


エミリの腕に着地したヴァルトを興味深そうに、ハンジとペトラがまじまじと見つめる。


「フクロウとは珍しいな……いつから飼っていたんだ?」


エルヴィンもエミリの隣に並び、興味津々にフクロウを観察している。

フクロウは、主にウォール・マリアの森に生息しており、夜に活動することが殆どであるため、人の目に触れることはあまり無い。そのため、実物を見たことが無いという人間は、多いだろう。
その上、現在は巨人の襲来によって、姿を見られる機会も極稀となった。

そんなフクロウが目の前にいるのだから、興味を待つのは当然のことだろう。


「飼っていたわけではないんですけど……まあ、半野良みたいな感じですかね。
小さい頃、弟と森に遊びに行った時、この子が怪我をしていたのを見つけて……それで、家に連れ帰って元気になるまでお世話したんです」


出会った頃はまだ雛鳥だった。どうやって母親とはぐれたのかはわからないが、放っておくこともできずに家に連れて帰ることにしたのだ。
そして、グリシャにフクロウであることを教えられ、エミリはフクロウをヴァルトと名付けた。

ヴァルトが元気になってから、エレンと二人で元いた森へ帰してあげたが、その後も森へ通い続けるといつも迎えてくれた。
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