Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第15章 賢者
「背負ってやるから乗れと言ってる。それなら、こいつらも心配しなくて済むだろう」
リヴァイの提案に、「兵長がそう言うなら……」と二ファたちはエミリから離れる。
「いいんですか?」
「お前が我儘言うからだろうが。この問題児が。さっさと乗れ」
「兵長……ありがとうございます!!」
パァと笑顔を見せたエミリは、機嫌よくリヴァイの背中に乗りかかる。それを眺め、二ファたちはようやく一息吐くことができた。
「ホントにリヴァイってエミリに弱いよね〜」
「うるせぇぞ、クソメガネ……」
「大体、エミリに問題児って言うけど、リヴァイだって昔は相当問題児だったクセによく言うよ〜」
「え、そうなんですか?」
「おい、誰かこの奇行種をぶん殴れ」
エミリを背負っているため、リヴァイは両手が塞がっている状態だ。ハンジを殴ることができない。
それに調子乗ったハンジは、リヴァイを茶化し続ける。
「てめぇ、後で覚えてろ……」
「はいは〜い! 頑張って覚えてるよ〜」
「チッ……」
「兵長、ハンジさんは放って早く鳥を見に行きましょう!!」
ハンジといいエミリといい、どうしてこんなにも彼女らは自由すぎるのか。そしてなぜ、いつも振り回されるのは自分なのか。リヴァイは誰かに問いたくなった。
「……とりあえず行くぞ」
その場に居る者たちに声を掛け、兵士に鳥がいる場所へ案内するように言い放つ。睨みがオマケ付きのリヴァイからの指示に、兵士は背筋を伸ばして大きくを返事をして歩き出した。
彼に続き、一同は、騒ぎの元凶である”妙な鳥”の元へ駆けつけるのだった。